【MyBestShot】南北の対立のリアル

自宅でテレビを見ている。北朝鮮兵士が、軍事境界線を越え韓国に亡命して6日が経過した。その数日前には、銃撃戦があったその場に自分もいたことを考えると身が震える。

軍事境界区域は至る所に、監視カメラが設置されている。静寂の中、両国の兵士がにらみ合う緊張感がその場を支配していた。我々も身の安全を守るため、北朝鮮軍を指差すことや挑発する行動は固く禁じられた。

その日の夜、軍事境界線付近で陸軍にいた韓国の学生と話す機会があった。国境付近の警備監視を行った男の子は「北朝鮮か境界線付近に近づくことで鳴る警告音は毎日のように鳴っていた」と教えてくれた。さぞ心が休まらない環境なのだろうと聞いたら、「北朝鮮兵の暮らしぶりか双眼鏡を通して見えるのか面白かった」と笑って答えた。しかし韓国の約3倍にもあたる10年もの兵役義務がある北朝鮮兵に対しては、「職業軍人の彼らと敵対するのは本当に怖い」と語っていた。いざ開戦となったら、軍事境界線から50キロあまりしか離れていないソウルには、何千発というミサイルが飛んでくる。そして屈強な北朝鮮陸軍か50年前には進軍してきた。その記憶は韓国の人々の心に未だ色濃く残っている気がした。日本では大陸弾道ミサイルの驚異ばかりが騒がれるが朝鮮半島が戦場となれば、日本への影響も甚大だ。そのためトランプ政権の北への圧力は、むやみに両国の緊張を高めるだけど考える人も多く、トランプ訪韓時にはトランプ氏への反対のデモも発生した。

日本と似て非なる国、研修を通した韓国の印象だ。朝鮮戦争、民主化実現、そして今なお続く北朝鮮との対峙。「政治」や「民主主義」への向き合い方が、生活に直に影響するため、ものすごく近い。そういった国でニュースのリアルやメディアの現場をみることができたのは、とても貴重な経験となった。

今春より報道機関へ就職する。様々な現場に立ち会い、様々声を多様な切り口でニュースの受け取り側に「自分事」として感じてもらえるよう努力していきたい。

宮川大輝)

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